炭水化物制限ダイエットについて

炭水化物制限ダイエットについて


ダイエットを始める際に、誰もがまず最初に考える事は食事量を制限すること、そして運動を開始するという2点だろう。
特に運動は始めるまでに準備が必要だが、食事制限には特に準備が要らないこともあり、思い立った時点から始められる。
そのため食事制限からスタートするという人が実に多い。

しかし体を構成する筋肉、骨、臓器、脂肪等は、全て食事から摂取される栄養素から構成されるので、制限しすぎると体調不良になり、健康を害する危険性もある。
そこで、何を制限して何を摂取したらよいのか?という話になるわけだ。
食事の3大栄養素といえば"脂質""たんぱく質""炭水化物"。
食事をゼロにする事はできないので、この3つの組み合わせをどのように工夫して、必要栄養素を摂取しながら健康を維持し、過剰なエネルギーを削減するかというプランが必要になる。


昨今言われている「低炭水化物食ダイエット」での勘違い。

さて、食事制限をする際に真っ先に想像できるのは高脂肪な物を排除すること、そして炭水化物(糖質)を削減することが思い浮かぶだろうと思う。
脂質は1グラム9キロカロリーあるので想像に難しくないが、たんぱく質と同じ(エネルギーは1グラムで4キロカロリー)炭水化物を削減する理由はなんだろうか?
恐らくどこかで聞いた事があるであろう「炭水化物制限ダイエット」というキーワードや、良くわからないけれど甘いものは太るであろうと想像出来るからだろう。

大きく考えれば間違ってはいない。
糖質は食後に血糖値が上昇しエネルギーを脂肪やグリコーゲンへと蓄えるためにインスリンが分泌されるトリガーになるからだ。
対して脂質は血糖値上昇を伴わないかわりに、ただエネルギーが非常に高いのが難点。
最後に残されたタンパク質は血糖値上昇が非常に僅かであり、エネルギーも炭水化物と同様であり、加えて体を構成するアミノ酸の元となるため、消去法で残された上に積極的に摂りいれたい食事といえる。

ちなみにタンパク質も血糖値を微妙に上昇させるという事は知らない人が多いと思う。
その理由は、体内で分解されたアミノ酸中にある"ロイシン、アルギニン、リジン"という物質がインスリンを少量分泌させるためだ。
ただ、インスリンと拮抗関係にあるホルモン"グルカゴン"も分泌されて相殺されるので、結果的にプラスマイナスゼロになるため、血糖値は上がらないといわれている理由と考えられる。

さて、では炭水化物制限食の場合、何をどの程度制限すればいいのだろう?
炭水化物とは、食物繊維と糖質の総称だけれど、ここでは糖質を中心に考えてみる。
糖質というと多くは甘いものをイメージする、ケーキなどの砂糖を中心とした菓子類やでんぷんを含む野菜・穀類。
これらを制限するというものだが、制限しすぎると脳への栄養が不足してボーっとしたり、集中力が低下したり、眠くなったりと体のあちこちに支障がおき始める。

これには若干慣れも必要だと思うので、いきなり大量摂取状態の生活習慣から極端な制限をすると、今度はドカ食いしてしまったり、過剰な食欲衝動に襲われかねない。

主に1日50グラム程度にする事が推奨とされているけれど、これには個人個人によって徐々に目指せばよいと思う。

何故、低炭水化物ダイエットが一定の支持を得ているのか?
食べ物を食べると血糖値が上昇し、それを下げるためにすい臓のランゲルハンス島β細胞からインスリンが分泌される。
人間の体は当然ながら使えば使うほど劣化する。
よく脳細胞は使えば使うほど働きが良くなるといわれているけれど、それはシナプス結合を意味するもので能力は強化されるだろうが、確実に細胞は死に続けている。

このβ細胞も使えば劣化する。
食後高血糖→インスリン大量分泌→食後高血糖→インスリン大量分泌

食後に高い血糖を示した場合、すい臓から分泌されるインスリンも大量に必要になる。
すると今度は慣性の法則のように血糖値が下がりすぎ、低血糖となって食欲がわきあがり、甘いものなどを食べたくなる。

この流れを
食後中血糖→インスリン中分泌→食後中血糖→インスリン中分泌

こうすることですい臓への負担が軽減される。

そして最終的にはスーパー糖質制限によって
食後弱血糖→インスリン弱分泌→食後弱血糖→インスリン弱分泌

という状態にし、すい臓への負担を極限まで軽減し糖尿病リスクを減らそうというものだ。

すい臓を守ると同時に高血糖にならないためにエネルギーの取り込みが弱められ、結果的に脂肪への蓄積が減少するという副産物を得られる。

ただ校長は糖質制限で糖類・糖質を制限する代わりに、脂質やタンパク質はいくら食べてもよい・・・というの意見には賛成できない。
やはり総カロリーが増えてしまえば、取り込みが遅れるだけで結局はそれだけ多くのエネルギーを体内に循環させることになり、やせ難いと思われるからだ。

理想は腹八分目に抑えつつ、糖質を制限してすい臓への負担を軽減する。
これが理想だろう。